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Imprint – Texture of Logos

2025.01.17

服を選ぶ基準を人はどこに置くのか?

私の服のスタートは古着だった。

古着熱、というかファッション熱が一番高かったのは中学生〜高校生時代だったと思う。雑誌のzipperが好きで、CUTiE派かZipper派かと友達とよく話していた、市内の古着屋まで1時間に一本の電車で40分かけて行って、少ない小遣いでド派手で最高な誰も持ってない服を買って田舎で着ていた。

高校生で市内に進学し先輩からFRUiTSを教わりTSUTAYAでSTREETの存在を知って自慢気だった。大学生になって東京に出て、まさに古着雑誌から出てきたような子とたくさん古着の話をした。

どんな風に服を選べば良いかな?と聞いた時にこっそりと「ブランド物を選ぶといいよ」と教えてくれた。

服がすごく好きだった私はブランドを知らなかった、そんな風に買い物をした事がなかった。早速試してみた、私は服が気に入って買っているのかブランドを買っているのか、服を選んでいるのかブランドを選んでいるのか混乱した。身の丈に合っているのかも分からなかった。

そのうちに仕事で服を作る様になり、良い素材、良い作りのものを知った。他のブランドを見るとどこにお金をかけて何を大事にしているのか分かる様になった。

昨年からブランド古着に刺繍をはじめた。

ブランド古着に刺繍をする時に私はロゴがある物を選ぶ、ブランドロゴを少し隠してみたり、モチーフを纏わせてみたり、その差し引きを楽しみに刺繍する。

ロゴを見ただけで誰もが知るブランドは、誰の中にも既にイメージがある。その既にあるイメージに、自分の刺繍が混ざって行く感覚が面白い。皆の中にも服を選んだ基準が自分の時代ごとにあったと思う。

服を選ぶ基準は何か。何を、纏っているのか。

友達が教えてくれた言葉を思い出す。

 

 

 

​​刺繍に使用した生地は使用しなくなり譲って貰った服や、ブランド服を作っている縫製工場、刺繍屋、素材を販売している会社様からのサンプル生地、残布、紐を提供していただいて作っています。

提供していただいた個人様、会社様ありがとうございます。

服自体は海外製品、日本で私にミックスされました。

​​​​熊谷綾乃​​

前回の展覧会「altitude」で探求された生命の境界線は、今回の展覧会では消費社会におけるアイデンティティの地層へと視点を移します。巨大なブランドロゴは、もはや単なる商業的記号ではなく、個人の自己表現の媒体となります。 古着のブランドロゴに施された熊谷の介入は、個人と集合的アイデンティティの複雑な相互作用を可視化する試みです。熊谷は刺繍という繊細かつ力強い技法を通じて、ブランドロゴを再解釈し、それが持つ意味を解体し、再構築します。

ギャラリスト 斉藤勉 

​一部文章をお借りしています。全文はこちら

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